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TABUCHI'S ROOM(2)

2011/09/05



TABUCHI'S ROOM




早速答えてみよう。



僕は学生時代に音楽ファンとしていながらも、他の音楽人たちがよく話している音質の事とかミックスのなりたちとかを一切気にして触れた事がなかったので
エンジニアという職業も当然不勉強でした。

今とてつもないコンプレックスです(周りの話についていけないし、共通の話題にもならない)。未だに音楽ファンとしては興味はないですが、出来うる限り知識を得ておこうと思ってはいます。



というような音楽的にポンコツな僕だったのでエンジニアが具体的にどういう事をするか、というのもわからなかったもんだから、めちゃくちゃ効果的なSEだったり、ハッとするエフェクト等も、ばっしばしにアイデアをあっちから出してくれるもんだと最初思ってました。

結果から言えばそれは甘えでした。もちろんエンジニアさんからのアイデアも、僕が体験した人以上にばっしばし出す人もいるんでしょうけど。

で、そこから勉強したのはSEにせよエフェクト等のアイデアは作った本人にイメージがあるなら形にしないと、ということでした。

JET CO.にはその辺のジレンマからの模索がちょいちょいSEやエフェクトに色濃くでてたりします。

最近の音源でピアノ等のプログラミングをするのもその流れです。ピアノ弾ける人間でありたかった。

結局レコーディングで必須な事の中の一つに、発信側からエンジニアへの「明確な伝言ゲーム」があるなと思いました。

今でもよく「あのホワワワワワンって感じのをひとつ」みたいに居酒屋の酔っ払いよろしく口で伝えることがありますが、自分でできるに越したことはない。

というのが僕がレコード会社さんからお力を拝借してCDを作るようになってからの大きな経験でした。



とここまでは過去語りで、理想のエンジニアとは関係ないか。

ま、「何でもやってくれるエンジニア」というのが理想ではない、そこは自分でやれなきゃ。という逆説的な意味合いでどうか一つ。



で、僕の思う理想のエンジニアなんですが。

「ミュージシャンのこと、音楽をちゃんと好きになってくれる人」これにつきるんじゃないかなあ。

表現職に身を置いてる人はほぼ全てが絶対に「認められたい」と思っているし、「認められない」のであれば心を開かない人間だと思います。

で、音のことに関してはエンジニアはプロであるわけでしょ。その人が好きになってくれないと、いい音なんてできないじゃん。

こっちからしても、「ああ、この人好きじゃないんだな」って気づいちゃったら居心地悪いし、イマジネーションもモチベーションも湧かない。

だから態度にせよ意見(もちろん賛成意見だけじゃない)にせよアイデアにせよ、「俺の音楽を好きでいてくれるんだなあ」って思える人が好きです。

そこに"信頼関係"が生まれるからです。



でも音楽が嗜好品であることを考えれば、一聴してすぐ好きになる人なんて多い方がおかしいじゃん。

だから一聴してどうかなんてことはどうでもいいの、偉そうなことを言えば、ちゃんと「好きになろうとしてくれること」が大事だと思うのです。

昔ライブハウスの店長さんに「ライブハウスオープンしてから、ビジュアル系もちゃんと好きになる努力したよ」という話を聞いたことがあります。

努力というと、えー義務感かよって思うかもしれないけど、ライブハウスの目的って音楽を好きな人を楽しませるってことでしょう。

で、音楽は嗜好品。人それぞれ。そう考えたらそういう発信をする人にあって欲しい資質だとは思います。(ちなみに僕は無理だと思います笑)

エンジニアもそれと一緒だと思うのです。



それを大前提として始めて"技術"というものが僕の理想の中にあがってきます。

これに関してはあればあるほどいい。

エンジニアも一人のアーティストだと考えれば「俺だったらこうする」みたいなものは確固として持っているべきだと思うのです。

サウンドジャッジにしても、録り方にしても、エフェクトにしても。

だからそのための準備として、どういう音楽があって、そこにはどういう技術が盛り込まれているのか、知識として持ってれば持ってるほどいいと思います。

例えばビートルズのそういうレコーディング技術みたいな本を、ファンが沢山執筆されてますよね。

そういうのを始めとしたwebサイトでよくある"FAQ"みたいなものを知識として備えていてくれたら、もしこちらが迷ったときに相談のしがいがあるので、頼れますよね。



ただ知識を持つ人にありがちだなーと思うのは、固定概念を作ってしまうこと。(幸い、会ったことないですけど)

キャリアがあればあるほど、その人にとっての答えというのはどうしても形作られてしまいます。

それはさっき言った"FAQ"みたいなもんだから、手札として持っていること自体はいいんだけど、無理やりその答えに当てはめこもうとする、「セオリー的におかしいからナシ」というような辞書に載ってないことをトライもせず否としてしまう人。

今までのセオリーになかったものを面白がれる人って、とってもクリエイティブだと思うんです。

音楽他数多の文化産業なんて全て"クリエイター"が創るものなんだから、クリエイティブじゃないなんてなんとも矛盾です。

知識を沢山持つのは本当に大事なことですが、知識に溺れる人はなんとも滑稽です。

これは人間の精神構造の問題なので、「大丈夫俺溺れない」と思ってる人も簡単に溺れます。

常に奢らない準備、というのも信頼関係につながってくるのかな。



さていかがだったでしょうか。エンジニアというものについて記憶をひっぱりだしながら考えてみました。

自分の進む道を決める、というのそこに立ちはだかる壁を受け入れる信念がないと大変です。

落ち込むことも多々あるでしょうが、結局自分を好きでいれた人が最後には勝ちます。

どうか、自分の納得が行く道をたどれますように。



田淵に聞いてみたい質問等々募集中です。

多分もうツイッターではやらないかな。ツイッターも共同体構造が変わったよねー。

というわけで、聞いてみたいことがありましたらこのサイトのメール宛にどうぞ。

久々に長文書いたら結構楽しかった。ものぐさはいかんな。







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